先日、SPRINT試験と云う血圧に関する論文が米国から出ました。かなりインパクトのある結果であり、そのうち新聞やネットに載るかもしれないので、早めに解説しておきます。
10000人を対象にして、従来の140mmHgまでの血圧コントロール群と120mmHgまでに下げる厳格コントロール群に振り分けて、どちらが脳卒中・心不全・心筋梗塞が低かったかを比べた論文です。
当初5年追跡の予定であったのですが、120mmHgまでの群で明らかに結果良好であったため、3.26年の追跡で終了となっております。何と25%のリスク減少につながっていたとの事でした。
これだけ見るともの凄いことです。が、対象者がかなり偏っておりました。既に心血管リスク因子を一つ持つ方で、しかも糖尿病や脳卒中の既往のない人限定で行われているのです。結果だけ見ると25%のリスク低減なので凄いことなのですが、適応できるのは高血圧の方の3割程度と解釈されています。逆に、厳格に血圧を下げたため、起立時のふらつきが出たりと日常生活での不具合も報告されております。
データとしてはかなりインパクトがありますが、適応範囲が狭いことや本邦でのデータではないことを鑑みると、降圧目標120mmHgに飛びつくのは時期尚早ではないかと思われます。まずは、きっちり140mmHgまでに下げましょう。