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2016年3月20日 - 書評のコーナー ~その30~

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「しゅららぼん」という単語自体非常に気になりますが、結局大きな意味はありませんでした。この作者、タイトルに変な単語を入れるのが大好きです。前作の「ホルモー」と同じくらい意味がないです。

石走という架空の町で、琵琶湖からパワーを貰って特殊能力を操る人たちが繰り広げるドタバタしたお話です。特殊能力といっても人の心に入り込んで時間を止めたりというようなもので、ビームを出して町を壊しながら悪を殲滅するという派手なものではありません。至って地味な能力です。作中には城が出てきたり竹生島が出てきたりするので、舞台は恐らくは彦根あたりを意識しているものと思われます。ただ、今回は主人公がそのお城に住んで生活しているという設定なので、彦根と明言できなかったのでしょう。それでも、この作者の特徴として実在の地名が沢山出てきます。読む前には彦根城とその近辺、そしてできれば竹生島観光は済ませておきたいところです。

さて本文の内容ですが。湖西にある分家の次男坊である主人公が、高校進学を契機に特殊能力の修行目的で湖東の本家に居候するところから始まります。しかしながら修行の描写は殆ど出てこず。修行の過程は本文にはあまり関係なかったようです。事件の語り部として、石走出身ではない主人公が必要だったようです。

主人公の属する能力者一派と、それに敵対する派閥も出てきます。同じ様に別の特殊能力を有しています。その敵対する2者が高校でたまたま同じクラスになってしまいます。基本的に学園ファンタジー物のカテゴリーですので、女子の取り合いもあれば、フラれたりもします。しかし哀しいかな、この作者はゴリゴリの男子校出身なのでこのあたりの描写は流石に今一つです。そんな、高校生あるある話が適当に進んでいくと、元を辿ると石走の殿さまの家系であったいう一族が登場します。それも突然。そして当然ながら城を返せと迫ってきます。そしてこれがまた滅法強い。本家の長もあっという間に倒されます。そして敵対する一派もついでに倒されて存亡の危機に瀕します。すると今までいがみ合ってきた面々がお約束のように一致団結。強い悪者に対抗してゆきます。ドラゴンボールのような王道です。その際、特殊能力を進化させるアイテムとして竹生島が大きな意味を持ってきます。遠いけれども、竹生島観光してから読むことをお勧めします。

彼らの戦いは当初の設定からどんどんズレていって、最早何でもありのカオスと化します。そこで「しゅららぼん」の登場というか発動。カオスを制するにはカオス。小さいどんでん返しなども交えながら、例によってよくわからないうちに事件は解決します。

サクサク読めますが、事件が取っ散らかって発生するので書評は非常に書き辛かったです。