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2015年9月18日 - 書評のコーナー ~その26~

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鴨川ホルモー

 

内容を知らずして、タイトルだけ見て購入する人は皆無かと思われますが、中身を読んでみると、将にこれ以外にタイトルは選びようがありませんでした。

ホルモンではなく、ホルモー。表紙でいきなり誤植?鴨川での焼肉パーティーの話?と思いながらも中身は確認せず。時々書店で表紙は目にして気にはなっていたのですが。

今回、有効期限ギリギリの電子書籍のクーポンがあったので、駄目もとで入手。しかし、これが馬鹿馬鹿しくて面白い。最近読んだ本の中でも下らなさは秀逸、且つ好みの文体。一気に読了してしまいました。

ホルモーの意味をここで詳述しても良いのですが、説明が長くなる割にはどうでもいい理由なので、ここでは割愛。取り敢えず、競技名であると認識しておいて下さい。

内容的には、京都市内の4つの大学が、式神というかオニを使役して(このあたりで、話は陰陽道テイストのする娯楽小説になって行きます)ホルモーという競技の対抗戦を行います。しかもこの戦いは1000年前から連綿と続いているという設定。けれども大学対抗という時点で既にあり得ないのです。しかしそんなことはお構いなしに話は進みます。京都大学青竜会、京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学朱雀フェニックスの4組織が大学の威信をかけて戦います。戦うといっても、学生たちの肉弾戦が繰り広げられる訳ではなく、彼らが使役する身長20cm位のオニに向かって鬼語で命令。そしてオニ達が一生懸命戦うのですが、戦い方が大間抜け。殴られて顔が凹んで、凹みきったら負け。しかし、救援組のオニがレーズンをその凹んだ顔に埋め込むと体力復活という訳の解らない珍妙な設定。そしてその対抗戦の合間合間に、恋話あり、友情あり、そしてお決まりの女性を巡る内輪揉めありと、云わば青春ファンタジー小説的な構成になっております。

しかしながら、今回の主人公は京都大学の学生たち。かなり世間ズレした思考回路ですので、TシャツをGパンの中に入れて黒い革のベルトをしているなど、京大生あるある話がてんこ盛り。作者が京都大学出身(ロザンの宇治原の同級生)なので、京都大学とその周辺の描写は非常にリアルです。織田作之助が、作品の中に矢鱈と大阪の地名を入れ込んだり、金勘定の数字を具体的に出して、小説にリアリティーを持たせていたのですが、その手法を取り入れているのでしょうか。読んでいて景色が目に浮かびます。逆に、京都市内に詳しくない人には、面白さ半減といったところでしょうか。

そして何気なく作者のプロフィールを調べてみると、何と高校の10年程度後輩。彼の為にも、図書館ではなく購入して読んであげて下さい。因みに、続編の「ホルモー六景」も楽しく読んでしまいました。久々に面白い本を見つけてホクホクです。