トップページ >> 新着情報一覧 >> 新着情報詳細(書評のコーナー ~その22~)

  • 当クリニックで行われている治療の説明をご案内いたします。

  • 当クリニックで行われている内視鏡のご案内です。

  • 当クリニック院長から皆様へ挨拶です。

  • 当院で出来る検査をご紹介いたします。

新着情報 詳細

2015年5月10日 - 書評のコーナー ~その22~

51JDeAkBb6L._SX230_[1]どうも書評のコーナーだけが着実に更新されております。別に無理して読んでるわけではなく、これでも間引いている方です。全部書いていたら、今頃は3桁の連載数になっているでしょう。

さて、本題に。

海外の作家さんの作品は訳者の個性が入るので余り好きではないのですが、ミステリー6冠との帯に惹かれて購入。しかし乍ら、う~ん。展開と言いネタと言い、一言でゲスい。褒めるところなしです。

アレックスが何者かによって軟禁される所から始まります。その軟禁場所と捜査現場の場面転換が頻繁に行われます。手法としては良し。今までにもこの展開方法でスピード感を演出している小説はありました。しかし、そこはやはり海外もの。主人公の過去の事件とそれにまつわるどうでもいい鬱々とした心情の描写が随所に挿入されております。後悔と言い訳を修辞でくるんだ様な説明。海外作品は総じて前置きが長いのですが、このじめっとした感じは仏作品を読んでいるのだなと実感します。しかしこの面倒くさい心情描写は以降の展開には何ら関係がなかったので余計にげんなりします。

帯には、「恐ろしくて哀しい」「慟哭の結末」「すごい衝撃」と賛辞が並んでいますが、私の評価は、3流のグロい小説です。物語のプロットが優れていたり、キャラが立っていたり、独自のワールドを展開したりと云う訳では全くありません。

101ページ以降の内容は秘密にしておいて下さいなどと勿体ぶったことが帯に書かれております。さてどんな展開になるのやらと、面倒な文章を我慢して読んでいましたが、一向に話の転がる気配がありません。そればかりか、3章に入って、犯人が逮捕された後。「捜査で判ったことだけど」と、後付けで色々と事実が開陳されます。なんだそりゃ。誰それが誰それの商売上の顧客で、もう一方は同郷の誼でと、何の伏線も無しで滔々と事実関係を詳らかにして行きます。何の感動もありません。また、その内容が外人の好みそうな悪趣味な内容です。このあたりの下りがこの小説の肝の様なので詳述はしませんが、こんなので本が売れるのかとある意味「すごい衝撃」でした。

評論家の皆さんは、犯行の手口と、犯行に至る理由がエグいだけで思考停止してしまっているのでしょうか。外国での評価が高いから、取り敢えず賞賛しているだけなのでしょうか。これでミステリー6冠って、どういうこと?終わり方も中途半端だし。読後感の悪いことこの上なしです。何か読んで中和しないと。