判ったような解らないような題名です。連日のようにISのニュースが流れていたので、先日から宗教関係の新書を続けて読んでいます。
11月には七五三を神社で行い、12月にはクリスマスで浮かれて。大晦日には寺で除夜の鐘を聴き、0時ジャストに神社に行く。われわれ日本人には当たり前の光景ですが、これが世界のスタンダードからどれだけかけ離れている事か。神道・仏教・キリスト教がごちゃごちゃに混じっています。そこへもって、最近ではハロウィンも乱入してきて年末年始は世界的には類を見ない宗教的カオスが形成されます。恐らく日本だけの光景でしょう。
日本人は、ご祭神が何であろうと神社を見ると賽銭を投げて(この投げると云うのにも意味があります。機会があれば後日)、大きな寺院があると取りあえずは中に入ってみます。他宗教では有り得ないです。世界の主な宗教は基本的に一神教であり、他の神を信じるなんてことは有り得ない話なのです。最後の審判で地獄に落ちてしまうのです。さらにキリスト教の中でもカトリックとプロテスタントは仲良しではありません。ムスリムもシーア派とスンニ派は仲悪いです。そこへロシア正教やらなんやらが入ってきて、寄ると触ると小競り合いしております。
2000年に、インドネシアで味の素の役員6人が逮捕されました。理由は「調味料の成分に豚肉が使われていたから」。それがどうしたと思うかもしれませんが、イスラム教徒(ムスリム)にとっては一大事であります。イスラム教では豚肉はご法度。食べることはもちろん豚肉を切ったナイフで調理されたものも穢れていると判断されます。更には、一緒に保存されていた食品もアウトです。そこで気になるのは、味の素は何をしでかしたか。味の素を作るためには発酵という工程が必要です。その発酵には菌が必要です。そしてその菌を増やすためにはアミノ酸(ペプチド)が必要です。そしてそのペプチドを作る過程で、豚由来の酵素を使っていた訳です。もちろん味の素には豚の成分は含まれておりません。しかし、これがアウトになって逮捕されたのです。日本人には到底理解不能です。
キリスト教やイスラム教のそういう不可解な部分を講義形式で説明してくれているのが本書です。仏教と神道はおまけ程度の扱いです。最低限の素養がないと、そうとう読みにくいですよ。興味のない人には、お勧めしません。