久々の書評のコーナーです。
ダヴィンチ・コードのラングドン教授シリーズ第4作です。
以前にも書きましたが、洋書は翻訳者というフィルターがかかるのであまり好きではないのですが。まあ、ダヴィンチ・コードが面白かったのでひとまず読んでみようという気になりまして。
しかしながら、上巻の半ばにて「なんじゃこれ?」、80巻以降の「美味しんぼ」か、これは?
イタリア旅行したことのない人には苦行としか思えない、観光名所の微細な記述。どこそこの角を曲がったらこの景色で、そしてまっすぐ行ったらこの広場に出て、等の記述が延々続きます。地方地方の料理を詳述することで自己満足に陥り本来の面白さを失った「美味しんぼ」を彷彿させます。明らかに今までの作品と趣が異なります。読者が期待しているのは美術と象徴学を交えた「そう来たか―」的な薀蓄であって旅行ガイドブックではないのです。
ダンテの「神曲」を題材にしているものの、遺伝子工学をスパイスに使い消化不良を起こしております。例えて言うならば、やったことないんですけれども「とんこつラーメンにレモンを浮かべたような」期待外れ感と、やっちまった感が読後に残ります。
イタリア旅行の既往歴のある人が、思い出を愉しみながらちびちび読むには良いでしょうが、休日の予定をすべてキャンセルして読書に費やした人には、悲しい読後感が残ります。
読みごたえがない。