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2012年11月15日 - 書評のコーナー その7



いつもミステリーものばかりなのでたまには違うものを。

と云う訳で、少しばかり古い本ですが司法ものを。

そして私、厚い本が好きなので今回の本も矢張り少々分厚いです。ほんの700ページ程です。

丁度、PL法が喧しく報道されていたころの話でしょう。いきなりPL法がらみのオープニングです。しかしこれは本編にはほとんど絡んできません。

主人公は検察庁から最高裁に出向中の女性。

大した活躍をするでもなく、謎解きをするでもありません。沖縄県警の出世のレールから外れた刑事二人組がストーリーを引っ張って行きます。

検事と弁護士の丁々発止の法廷でのやり取りがメインなのかと思いきや、殆ど法廷闘争は無関係。官僚機構と司法制度の裏話を交えながら物語は進んでゆきます。物語のプロット自体は大した内容ではないのですが、アメリカのローファームによる日本の弁護士事務所の乗っ取りとか、弾劾裁判の手続きなど、作者が弁護士だけに妙にリアリティーがあります。

しかし、司法関係者から見ると「そんなの裁判官が知らないわけないだろ」とか「検事の裁量範囲超えてるだろ」とか突っ込みどころ満載なのでしょう。

私は、その業界には疎いので楽しく読めましたが。

万人受けする本ではないですが、ビジネスマンでもないのに夜11時からテレビ大阪のワールドビジネスサテライトを視聴しては、経済通になったつもりでいる「自称、政治経済通のエンジニア」には良いんじゃあないでしょうか。