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2012年7月25日 - 書評のコーナー その4

久々の書評のコーナーです。今回は、ミステリー部門です。ミステリーと言っても色々ありますが、ダビンチ・コードの様な暗号謎解きではなく、神主兼古書店の主人が脇役を従えて薀蓄たっぷりに説教して謎を説いてゆくというパターンでもありません。



サイエンスミステリーの範疇に入ります。が、この本の読み難さと云ったら、今まで読んだ本の中でもかなり上位にランキングします。喩えて言うなら、学生時代に夏休みの宿題で厭々読んだスタンダールの「赤と黒」レベルでしょうか。

しかも、3部作で1500ページもあります。そして何よりきつかったのが、ドイツの物書きの癖なのでしょうか、兎に角「前置きが長い!」。冴えない大学教授が主人公なのですが、本題に入るまでに、教授が湖畔の別荘にバカンスに行ったり、知人の女性にふられたりとどうでもいい描写がが延々と続きます。さらに、カナダのイルカ観光船の収益が上がらないという話やアメリカ先住民の民族問題に立ち寄ったりして、読者の我慢は限界に近づいて行きます。

上・中2冊纏めて買っていなければ、上巻で放り出していました。

しかし、延々と登場人物の人となりを読まされているので、本題に入るとグイグイ読まされます。サイエンスミステリーなので、「それはないやろ!」と理系的には突っ込みどころ満載なのですが、2冊目まで読むと3冊目は一気に読み切れます。生物・地学系統の素材です。まあ、読んで良かった3冊です。

本を忘れて行った旅館で読む物がなくなり、挙句、紙おむつの説明書きを読み込んでしまう程の、「趣味、読書」と言い切れる人向けです。