で、このピロリ菌ですが、1984年に見つかるまで胃の中にはいなかったのかというと、そう云う訳ではありません。顕微鏡を覗くとちゃんと見えているのです。
しかし、「まさか胃の中に菌が住めるわけがない」との理由で標本作成の際の人工物、平たく言うと「ゴミ」だと思われていたのです。
それまでにも胃の中に菌がいるのだという説は度々出るものの、「培養できないじゃあないの」という理由で却下されてきました。
このお二人も例にもれず、胃の中に菌がいると信じながらもなかなか培養出来ずに困っていましたが、世の中何が僥倖するか判りません。
通常2日培養してみて何も生えなかったら棄ててしまう培養皿を、イースターの休暇だからということで5日間も放ったらかしにしてしまったのです。するとラッキーにも1つだけコロニーが生えていたということなのです。
下の絵は、ピロリ菌の電子顕微鏡写真です。数本の鞭毛で粘液内を移動します。