今回は、子供の学校の図書館から借りました。
若手消化器内科医とその友人達で繰り広げられる物語です。ここで、敢えて小説と書かなかったのは、本書の性格が小説というよりも非常に私小説に近しい文章だからです。内容的にはミステリー仕立てと云うわけでもなく、どんでん返しが待っているわけでもなく、文中で主人公が語るように「漱石の時代」の作品の読了感でした。大きな落ちがある訳でもなく、余韻棚引く感じです。
病院内での主人公の立ち回りの描写は、医療従事者的には至極普通の日常些事なのですが、医療関係者以外の人々にはそこがリアリティーがあって受けが良いのでしょう。
外科医が主人公の物語は見せ場が多くて格好良いものが多いのですが、内科医が主人公になると矢張りこんな感じなのかなあ、華がないなあと、現役消化器内科医的には思うのでした。櫻井君のファンが映画と抱き合わせで読む分には読みやすくて良いかと思いますが、「趣味、読書」の人が読むと若干物足りない感じがします。