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2012年1月12日 - 書評のコーナー

冬休みを利用して、一冊読んでみました。



江戸時代での暦の改変に奔走する青年の物語です。

最初の方は数式やら図形が出てくるので、数学アレルギーの人はつらいかもしれませんが、図形のくだりはすっ飛ばして読んでもなんら影響はありません。また、時代背景が江戸時代なのですが、歴史嫌いのひとでも読めます。チャンバラの格闘シーンもありません。

この作家さんは、自分の書いた作品を読み直して手を加えるのが好きな方で、かなり上手に作りこまれています。一般的に最近の小説の傾向として、場面転換を頻回に行うことで、スピード感を出そうという傾向がありますが、本作品ではそんなことはありません。主人公の視点で物語が展開して行き、じっくり考えながら読めます。しかしながら、後半の部分で若干話が端折り気味になっているのが惜しいといえば惜しい点です。

個人的な感想として、京極夏彦は別格として、最近読んだ本の中では、話の展開の緻密さと速さ、そして読後感の爽快さという点では、かなり良い線行っています。映画化も予定されていますが、この内容を2時間分のストーリーに削るのは大変だと思います。

因みに、神戸市図書館で貸出申し込みしたら、300人待ちでした。