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2023年10月19日 - 温泉ソムリエの蘊蓄講座 ~その3 湯原温泉~

湯原温泉「油屋」

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美作三湯のひとつ、湯原温泉です。ダムを見上げるようにして入る「砂湯」が有名ですが、この砂湯、なかなか入浴には勇気がいります。まず、湯原一の観光地ということもあり、老若男女問わず観光客が見に来ます。掘立小屋の更衣室はあるものの、カーテンも何もなく尻丸出しです。タオル一丁で観光客の衆人環視のもと湯壺につかります。ジロジロ見られて全然落ち着きません。湯壺は3個あり、それぞれに謂れが違い名前もついているのですが、ほぼ同じです。それなりに整備はされているようですが、湯壺の底には砂がじゃりじゃりしており枯れ葉等々が浮かんでいます。しかし、それよりも観光客のスマホが気になります。要らぬものが映り込んでいなければ良いのですが……。混浴なので女性は湯あみ着を宿で貸し出してくれるのですが、この環境で入浴する猛者はほぼおりません。ただ、湯自体は適温の自然湧出という稀有な湯です。

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湯原温泉には3つの源泉があり、その一つを有しているのが、「油屋」です。検索すると雰囲気のある建物がでてきます。千と千尋の神隠しのモデルでは?という向きもありますが、定かではありません。しかしこの建物、実は食事と入浴専門の建物で、宿泊は道を隔てた向かいの建物になります。宿泊棟はいたって普通の建物です。しかも少し年季の入った建物です。しかしながら、この宿泊棟の地下にすごい湯があります。

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完全予約制で、源泉かけ流しの低張性アルカリ性高温泉。この源泉は毎分700リットルもの湧出量を誇り、付近一帯の温泉宿を賄っております。湧出してすぐの新鮮な源泉に浸かれます。贅沢な話です。さらには、この宿8部屋しかないのですが、そのすべての湯舟では蛇口をひねると源泉が出てきます。贅沢な話です。ただ、湯舟自体はかなり年季が入っています。湯舟には期待しないでください。

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元禄旅籠と銘打った非常に綺麗な食湯館と、昭和の香り漂う宿泊棟とのギャップに喘ぎますが、源泉好きのひとならば一度は泊まってみたい宿です。付近一帯の温泉宿の源泉というだけでも泊まりたくなります。