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2023年11月21日 - 書評のコーナー ~その85~

爆弾

リーダビリティー若干低めの本でした。範疇としては謎解きなので広義のミステリーに属します。なぜリーダビリティーが低めかというと、主人公が爆弾犯。スズキタゴサクというふざけた名前で物語の舞台が取調室なのです。すでに別件で逮捕されているのです。主人公の相手をするのは警察官。まあ、どちらにも感情移入し辛いです。微罪で連行されたスズキタゴサクが都内某所での爆発を予言します。適当に相手していたら本当に爆発しました。慌てたのは警察。当然ながら第2第3の爆弾があるのかどうか尋問しますが、のらりくらりとかわして素っとぼけている間に第2の爆発が起きます。

すわ一大事と偉いさんが出張ってきて尋問しますが、柳に風の糠に釘。逆にいいように手玉に取られる始末です。スズキタゴサクがクイズを出したり、警察がスズキタゴサクの心の内側を読もうとしたり。この一連の尋問や禅問答のような会話が延々と続くのです。リーダビリティーも落ちます。逆によくこのシチュエーションで長編小説を書き上げたなと拍手したくなります。派手な伏線回収なし、どんでん返し軽度あり。読後の爽やかさほぼなし。

「このミステリーがすごい」1位ですが、どうなのかな……。小説に何を求めるかですが、娯楽と読後感を求めている人にはナシです。緻密な論理と推理、少しばかりの社会へのアンチテーゼを求める人にはアリだと思います。

爆弾画像