夜間頻尿
最近寒いせいか、夜間の頻尿で悩む人が多いのでそのお話を。
夜間覚醒してトイレに行きたくなるので睡眠薬を所望する人が多々いるのですが、これはあまりお勧めできません。というのも、飲むと朝までぐっすり寝られるのですが、これが曲者なのです。夜間覚醒しないのはもちろん、夢も見ずに寝ている人が殆どなのですが、これは非生理的で好ましいことではありません。我々の認識としては、「眠剤で寝ている=薬で気絶している」状態なのです。
まずは、トイレに行きたくて目が覚めるのか、目が覚めてしまったのでついでにトイレに行っているのかを区別しましょう。
トイレに行きたくて目が覚める人は泌尿器科を受診してください。目が覚めてしまってついでにトイレに行っている人はあまり悩まなくても大丈夫。
そもそも、ヒトの睡眠というものは90ー120分ごとに浅くなるものなのです。この浅くなる睡眠をREM(rapid eye movement)睡眠と呼びます。名前くらいは聞いたことあるかもしれません。このREM睡眠時には眼球がピクピク動いて脳が活発に働いているのです。この時期に既往の整理が行われ夢を見ていると言われます。その際、体は力が抜けてもっとも休まる時間帯です。余談ですが、このREM睡眠時に半端に覚醒してしまうと頭は夢を見て冴えているのに体が動かないという状態になり、いわゆる金縛りになると言われております。
されはさておき、加齢によって眠り全体が浅くなっているところへ、このREM睡眠が定期的に起きることで夜間たびたび起きてしまうのです。ある程度は仕方のないことなのです。
じゃあ、何ともならないのかと言われると、何とかなることもあるのです。
長崎大学のグループから、塩分制限で夜間頻尿が減ったという報告がなされております。ヒトは過剰摂取した塩分を夜間に排泄しようという性質があるといわれているのでこれは納得の結果です。
夜間頻尿で悩んでいる方、泌尿器科受診のまえに一度減塩してみてはいかがでしょうか。