年を取ると骨が弱くなってきます。栄養状態の改善により、一昔前のような背中の曲がったおばあさんは減ってきたものの、依然として圧迫骨折で困っている人は大勢います。脊椎の圧迫骨折や大腿骨を骨折した人の3割はその後寝たきりに近い生活を送っております。
まず骨粗鬆症の診断です。診断には特殊なレントゲン検査が必要です。あいにく当院にはその機械はないので、必要な際には機械のある病院を受診してもらっております。具体的には腰椎と大腿骨のレントゲンを撮ります。DEXAといいますが、骨密度を定量測定できます。その結果、骨密度が若年成人の70%未満に低下していた場合、骨粗鬆症と診断されます。
治療はおもに薬物療法となります。食事で何とかしたいところですが、普通に食事を摂っている人の場合はこれと言って有用な食事療法はありません。強いて言えば、カルシウムは当然ながら大事ですが蛋白質の摂取が大事です。
草ばかりではなく肉や魚も食べてください。
飲み薬は、昔ながらのビタミンD製剤が基本になります。近年、美白ブームのせいか極端に日光を嫌う人もいますが、日光に当たることにより皮膚でビタミンDを作ってくれます。また最近では骨吸収を抑制する薬(ボナロンなど)を使用することが増えております。朝空腹時に内服して30分程度は横になれないという縛りはあるものの、週に1回の内服で非常に効果があり、治療薬としてはこちらが主流になりつつあります。そのほか、骨粗鬆症は女性ホルモンと密接な関係があり閉経後の女性で急に増悪することが判っております。そのため女性ホルモンの受容体に作用するような薬も出てきております。
兎にも角にも骨粗鬆症の目的は骨折の予防です。
寝たきり防止のため、早期に診断して骨塩量を維持することが重要です。