フェルマーの最終定理
xn+yn=zn nが2よりも大きい時は整数解を持たない
理系を自称する人なら必ず一度は目にしたことのある文章です。因みに、n=2の場合は皆さんご存知のピタゴラスの定理(三平方の定理)です。
フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーがこの定理を書き記し、そこに「私はこの命題の驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここには記すことはできない」と書いたものだから、世の中の数学者たちはプロもアマも挙って証明に乗り出すことになったのです。シンプルな数式で一見簡単そうに見えますが、フェルマーの走り書きから350年誰にも解けませんでした。しかし1993年、プリンストン大学のアンドリュー・ワイルズが数々の数学者たちの屍を超えてとうとうこの難問の証明に成功したのです。ケンブリッジ大学のアイザック・ニュートン研究所でのワイルズの3日間の講義は数学界の歴史的な講義となりました。
本書は、英国BBCでのドキュメンタリー番組を書籍化したものです。内容は多岐にわたり濃厚です。フェルマーの生い立ちどころかピタゴラス時代の数論の説明から始まって、ガウス・ガロア・オイラー・コーシー・ハーディーなど数学史を彩る有名人のエピソードをちりばめて、最後はワイルズの7年間の屋根裏部屋での研究を書き綴っています。
この証明の何がすごいかというと、門外漢のアマチュアの発想では整数やせいぜい数列を駆使して証明したのだろうと考えるところを、楕円方程式とモジュラー形式の組み合わせで証明したところです。何のことやらさっぱり解りません。細かいことは省きますが、ゲルハルト・フライという数学者がフェルマーの定理をこねくり回して、楕円方程式に組みなおして、この方程式が成立しなければフェルマーの方程式は解を持たないという論理にたどり着いたそうです。ワイルズは直接定理を解いたのではなく、この楕円方程式に関しての証明を行ったのです。その際、重要なカギとなるのが、谷山=志村予想です。一般人には全然有名ではありませんが、なんと思いっきり日本人の発想が関与しているのです。ザックリ言うと楕円方程式とモジュラー形式は実質的には同じではないかという予想です(偉そうに書いていますが、私も全然理解できていません)。
難解な数式は一切出てきませんが、聞いたことのない用語が沢山出てきます。その用語をググると眩暈しそうな数式が沢山出てくるので途中でやめました。解らんものはそのままに読み終えると、少し賢くなった気分になります。