読書する人だけがたどり着ける場所
「声に出して読みたい日本語」「三色ボールペンで読む日本語」でおなじみの齋藤孝さんの著書です。上記の2冊は有名ですが、どうも子供向けの感じがしていたので全然食指が動きませんでした。今回は、なかなかチャレンジグなタイトルでしたので、試し読みもせずに購入。結果、良い本でした。
ネットで情報を得るためだけに文章を読むことと、知識を深めるために本を読むことには大きな違いがあるということには激しく同意でした。
幅広い分野の本を読み、深く考え教養を身に着けることで人格も人生も進化するということがこの本に一貫して書かれている事柄です。
この本を読んで、大好きな「鴨川ホルモー」(万城目学 著)をじっくり読み返してみました。今までは、話の進行が上手いせいかツルツルッと滑るように読んでいましたが、一文一文咀嚼するように読んでみると、見事な一人称語り(結構難しいのです、これは)、地の文の上手さ、主人公の細かい心の機微等々、再発見がありました。これだけでも本書を手に取った甲斐がありました。
How to本の体裁をとりながら、古典文学を随所に引用しており、この本を読む際にもそれなりの読書量が必要です。そもそも、それなりの読書をしていない人はこのタイトルに惹かれることはないと思いますが。
私も書評のコーナーなんてものを書いているくらいで読書量は多い方だと思いますが、所詮は理系の本読み。文学部の人の読み方に比べたら、まだまだ読み込み方が浅いなと気付かされた一冊です。