愛なき世界
推理物でもなく、冒険活劇でもなく。ただただ、理系女子の思考回路を愉しむという作品です。登場人物はT大理学部生物学科の面々。定食屋のお兄ちゃんが出前を配達しながら、理系あるあるを引き出してゆきます。定食屋のお兄ちゃんは、出前を通して大学院生に恋慕するのですが、その子は人間には興味がなくてひたすらシロイヌナズナの葉を顕微鏡で眺めています。決しておかしい子ではありません。コンビニ人間に出てくる様な破壊人格者ではありません。どこにでもいるような、実験大好き女子です。ただ、その度合いがシロイヌナズナと結婚しても良いという位ぶっ飛んでしまっているというだけです。
生物学科の紹介から、大学院のシステム。理学部他学科の紹介やら行事、研究会セミナーの描写など、今はやりのお仕事小説の要素をふんだんに盛り込んでおります。
手に汗握る部分は、ほとんどありません。キャラ頼みの内容ですが、俳優さんをうまく選べばTV化には向いていると思います。
不思議なリケジョの日々を書いている小説でして、この際タイトルはほぼ意味ないと思います。
ハードカバーですので、読書好きの人向けです。
大衆小説+硬派なラノベといった位置で、軽くサクッと読めます。