パーマネント神喜劇
短編集の体をとっています。主人公は神さま。と云っても万城目ワールドは健在です。縁結びを主な仕事にしている小さい神社の神さまが主人公。本の表紙にインパクトのあるおじさんが書かれていますが、そんな感じです。この神さまに上司がいたり転勤があったりと、非常に人間臭い柵(しがらみ)を紐づけてストーリーは始まります。でも、仕事はしっかり神さまのお仕事。言霊を飛ばして恋愛成就させたり、性悪の青年を更生させたり。起きている事件は大した事件ではありません。しかしその事件を巡っての神さま同士のやり取り、人間社会でのあるあるを読ませるストーリーです。
短編集なので、それぞれタイトルがついています。それなりに意味のあるタイトルもあれば、トシ&シュンなんてどう考えても杜子春のパロディかとも思うのですが、最後だけ杜子春チックなだけで多少タイトル負けしている感があります。最後のパーマネント神喜劇なんかは、所謂新喜劇とは一切関係ありませんでした。そのまま神さまが喜ぶお話なだけでした。
謎解きでもないので粗筋を書いてもいいのですが、正直なところ書くほどの筋がないわけで、神さま達のぐだぐだした会話を愉しむという少し変わった作品です。
短編なので、今までの万城目ワールドに比べるとしょぼいですが、それでも良い時間つぶしにはなります。前作のカラスのお話よりかは随分良しです。